この思い。
 君に伝えるべきことかな・・・?

    byクリフ

第13話「薔薇の願い。」


あのクリフの事から10日ほどたった。
アゲハはクリフがそんな過去があったと思うと胸が切なくなった。

彼を、愛し、「ミネラルタウン」まで追ってきた蝶。
アゲハは彼を救ってあげたい。
そんな気持ちが心の底から湧き上がった。

「クリフは、自分がすべて悪いと思ってしまっていた。
その呪縛はまだきっと、心の中にあるはず・・・。」


「だけど・・・。私は蝶。本当の人間じゃない」


アゲハは仮の人間。
その身体も1年過ぎたらなくなってしまう。
そしてまた『蝶』の姿に完全に戻ってしまう。


「私はクリフに1年で何をしてあげられるの・・・?」


そんな疑問を抱えたまま、アゲハは教会へと向かった。



ドアを開け、そこにはいつものように、
カーターさんが微笑んで出迎えてくれた。

「おはようございます。ちょっと話を聞いては行きませんか?」

カーターの誘いにアゲハは頷き参列者用の椅子に座った。

「では、話しますね」


「はい、」

そうしてカーターはゆっくりと語りだした。


「ある一人の少女がいました。


彼女は、仮の人間でした。
   彼女は、薔薇だったのです。」

「薔薇・・・?」

「そうです。彼女は、薔薇の農園の花でした。

ある時、彼女は農園に勤めるカイナという男性に恋をしたのです。

ですが、カイナは人間。薔薇は薔薇。

当然話すことも出来ない薔薇は切に願ったそうです。


『人間になりたい』


願い続けた薔薇はある日とうとう人間になれました。

ですが、1日だけの約束で。

薔薇はカイナに愛に農園に行きました。


そこでカイナに出会い、薔薇は自分の思いを伝えました。
ですが、カイナはこう言いました。

『君は誰?』


薔薇は気づいたのです。自分は彼を知っていても彼は自分を知らない事に。

1日というだけの約束だったので
薔薇は自分を知ってもらう事も出来ずにまた薔薇の姿に戻ってしまいました。」


「――――私だ」

アゲハはひそっと言った。
カーターは話を終えるとアゲハに訪ねて来ました。

「アゲハさんはこの話の薔薇だったらどうしますか?」


「え・・―――――――」


アゲハはカーターからの問いに答える事が出来なかった。 


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