いつものように朝起きると雨が降っていた。 雨だと水やりしなくていいから楽なんだ。 今日もアイツのところに行くついでに差し入れでも持っていってやろうかな。 きっと相変わらず一人でヒマしてるだろうし・・・ 雨の降る日は 私はクレア。 この春、ミネラルタウンにきた牧場主。 そして今は夏。 街には夏男がいる。 名前はカイ。 アイツが来てから私が毎日することがある。 それは・・・アイツをからかって遊ぶこと――― 「カイッ!! また来てやったぞ☆ 相変わらず寂れてるなぁ ほら、差し入れ。 今日のはうまく出来たんだ。」 一気に言って、紙袋を差し出す。 「おぉ、ありがとな、クレアv」 笑顔で感謝の言葉を言ったはいいが・・・ この私が素直に差し入れると思ってるのか? カイは紙袋の中を嬉しそうに覗き込んだ。 その顔はすぐに固まる。 あ〜、面白い♪♪ 「どうした?カイ。」 その変化の理由を気付いてないかのように聞いてみる。 さあ、なんて応える? 「いや・・・、なんでも・・・ない・・・」 面白い、面白い♪♪ 何でもない割には言葉につまってるぞ。 「そうか? 食べて・・・くれるよな?」 カイが固まる。 それもそのはず、カイの持つ紙袋の中身はわざと作った失敗作。 しかも、カイの嫌いなピザの失敗作でその形は残っている。 我ながらうまく出来たな、うん。 「あ、あぁ・・・」 そう言うカイは外に出て雨に濡れたかのように汗をかいている。 コイツのこういう反応が楽しいんだよな。 雨が降る度に私はこんな差し入れを持ってくる。 前回まではピザではなかったが。 それを、コイツは毎回食べる。 だから、楽しくて仕方がない。 「食べないのか?」 「た、食べます・・・」 カイは意を決したように一気に失敗作を口に入れる。 別に食べる必要はないんだがな。 面白いからいいけど。 「・・・・・・」 失敗作を全て食べ終えたらしい。 その顔は真っ青で、しゃがみ込んでいる。 「大丈夫か?」 流石にやりすぎたかと心配になった。 まあ、このぐらいでくたばるやつではないと思うが。「クレア・・・」 ほら、大丈夫そう。 「差し入れは嬉しい。すごく嬉しい。 でも、頼むから食べれるものを持ってきてくれ・・・」 「だったら食べなけりゃいいだけの話じゃないか。」 私はこの反応が楽しくて持ってくるんだから。 「お前のくれるもの食べないわけにはいかないだろ!?」 そう言うカイの顔は真っ青だったのが真っ赤になっている。 「別に傷つくような神経は持ち合わせてないぞ?」 反応を見て楽しむ神経は存分に持ってるが。 「違っ・・・ ・・・好きな子のくれたものならどんなものだって食ってやるよ」 ・・・は? 好きな子・・・? 「誰のことだ?」 「お前のことだよ!!」 間髪入れずに返された返事。 コイツ・・・Mだったのか? ぐいっ いきなり腕を引っ張られた。 そして・・・? 一瞬後、私の目の前にはカイの顔。 「なっ・・・」 「こういうことだよ!! 誰が好きでもないヤツの作った失敗作食べるか!」 その顔を見て、もうどうでもよくなった。 気がつくと、笑っていた。 「なぁ、クレア。」 「何?」 10分ぐらい笑っていたか。 「俺が・・・料理教えてやろうか?」 「遠慮する。」 コイツはあれが私の精一杯だと思ってるだろうが、あれはわざと作ったものだし。 「だってあれじゃ困るだろ?」 本当に心配してるみたいだな・・・ また遊んでみるか。 「お前が面倒見てくれるんだろ?」 言った途端、カイの顔がまた真っ赤になった。 「それは・・・」 「違うのか?」 やっぱり面白い。 「・・・一生面倒見てやるよ!!」 吐き捨てるように言ったなぁ。 「ってことは・・・夏以外の季節もここに残るんだな?」 「・・・あぁ。 お前が望むなら。」 夏以外もコイツで遊べるか。 「じゃあいてくれよ。 きっとお前がいなくちゃつまらないし。」 「でも料理は教えるからな?」 いきなり真顔に戻って言った。 「遠慮する。必要ないし。」 「は?必要あるだろ!! いくら俺でも専業主夫はいやだぞ!?」 「あれは“特別”だし。 普通に料理はできるから。」 ああ、おもしろい。 意味がわかっていないらしいカイにさっきのお返しをひとつ。 「お前が“特別”ってことだよ、カイ。」 顔を離して、笑って言う。 私の目の前には茹蛸のように赤くなったカイの顔。 たまの雨の日には・・・正直になるのもいいかもな。 「あ、雨が上がった。」 窓の外は晴れて、二重に虹がかかっている。 「カイ、今日は私が夕飯作ってやるよ。 ちゃんとしたのをな。」 「・・・楽しみにしてるよ」 信じてないな、きっと。 その日の夕飯、カイがとてつもなく驚いたのは言うまでもない。 **END** ===== 第一回お祭り、お題『雨』 に参加してくださった方々への捧げ物。 とりあえず『雨』がテーマ・・・?(ぇ いや、そのはずなんですけどねぇ・・・ まぁ、いいにしましょう(マテ というわけで(どういうわけで?)、 これは参加してくださった方々のみお持ち帰りOKですww 飾るなり食べるなり(?)どうとでもしてくださいww 2004.07.04 執筆 07.06 アップ ユウナ |