『絶対・・・戻ってくるから。
 絶対、君を迎えに来るから・・・』
そう言って、去っていった冬。初めて雪が降った朝。
その朝から、もう三年もたったんだよ?
もう、四年目の夏だよ?
もうすぐ、私の誕生日。
私は、忘れてないよ?
ずっとずっと、待ってるよ?
私は・・・いつまで待てばいいの?


  夏の日の贈り物


「ク〜〜レアッ!!今年も来たぞ!!」
朝の牧場。
夏男、カイが騒がしく現れた。
今年も、夏が始まる・・・
「カイ・・・
 もう、そんな季節なんだ・・・」
それに答えたのはどこか寂しげな色を秘めた瞳を持つ牧場主。
「ああ、今年もお前のために来たぞ。」
「みんなにそう言ってるんでしょう?
 ・・・でも、アリガト。」
その言葉に、クレアは笑顔を見せた。
でも、その笑顔はやっぱり淋しげなものとなる。
「クレア・・・
 まだ・・・アイツを待ってるのか?」
その問いは寂し気な微笑みで肯定された。
「・・・約束、したから。」
「そうか・・・
 あぁ、今年の誕生日は何がほしい?
 お前のためなら何だってやるからさ。」
クレアは首を小さく横に振る。
「ん〜・・・じゃあ、今年はお前がビックリするモノやるよ!
 楽しみにしてな。
 そうと決まったら・・・俺、宿屋戻るわ。
 また来るからな。」
カイは何かを思い付いたらしく、風のように去っていった。

1週間後・・・クレアの誕生日。
「クレア、誕生日おめでとう!!」
宿屋で、若者たちによるささやかな誕生日パーティが開かれた。
まちまちにプレゼントを渡し、あと渡していないのはカイのみ。
「俺のプレゼントは海にある。
 クレア、一人で行ってこいよ。」
「・・・何?」
「見てからのお楽しみ☆
 ほら、行ってこい。
 な、クレア。」
そう言い、クレアの背中を押す。
それに促され、クレアは海岸へと向かった。
「カイ、一体何なのよ。
そこら中に電話かけてまでのプレゼントって。」
「多分クレアが・・・一番喜ぶモノだよ。」

クレアが海岸に着くと、夕焼けの中に一隻の船が停泊していた。
そのデッキには、人影が。
「・・・うそ・・・」
思わずクレアの口から驚きの言葉が出る。
それに応えるかのように、『人影』が振り向いた。
クレアの小さい呟き。
でもそれは彼の耳に入ったらしい。
その証拠に、彼は振り向いた。
「クレア・・・
 ただいま。帰って来たよ。
 長く待たせてごめんね。」
優しい声が響く。
クレアの目から、涙が伝い落ちる。
「クリ・・・フ・・・?
 本当にクリフ・・・?
 夢じゃ・・・ないの?」
「本当だよ。それに、夢じゃない。
 クレア、何年も待たせてごめんね?
 これからはずっと傍にいる。
 だから・・・泣かないで?」
船から降りたクリフは、クレアをふわりと抱きしめた。
「嬉しい・・・
 クリフ、お帰りなさい。」
その腕の中で、クレアは最高の笑顔で言った。
その顔には、寂しげな様子など微塵もない。

「へぇ〜・・・
 カイもやるじゃん。
 確かにクレアちゃんの一番喜ぶ誕生日プレゼントだね」
海岸の二人が見える位置で、隠れて見ていたらしいランが言う。
そこには、カイとカレンも。
「カイもたまにはいいことするんだねぇ。」
「たまにはってなんだよ!?
 俺はいつもいいことばっかりしてるぞ!?」
感心した様子のカレンに、カイがいかにも心外だというようにくってかかった。
「はぁ??
 何言ってるの?
 寝言は寝てから言うものよ?」
「なっ・・・
 何失礼なこと言うんだよ!!」
「はいはい、何でもいいから静かにしてね?
 ん〜・・・そろそろ戻った方がいいかな?」
喧嘩に発展しそうな二人を宥め、ランは宿屋への道を戻りはじめた。

「ただいま。」
「ランちゃん、おかえり♪
 プレゼント、何だった?」
宿屋に戻ったランたちに、居残り組のポプリが聞く。
「もう少しすればわかるよ♪
 多分もうすぐ帰ってくるから♪」
「え〜!!教えてよ〜〜!!」
二人の会話に、宿屋の中が沸いた。
「ただいま、みんな。」
噂をすれば・・・というように、クレア、そしてクリフが戻って来た。
「おかえり、クレアさ・・・クリフっ!?」
「これはこれは・・・すごい“プレゼント”だな、カイ。」
「クリフ君、おかえりなさい。」
「よかったわね、クレアちゃん。」
「・・・今回ばっかりはほめてやるよ、カイ。」
「・・・」
六者六様の反応。
ポプリにおいては驚きで声も出ない様子。
「カイ、ありがとう。
 最高の“誕生日プレゼント”だよ♪」
そう言って笑うクレアの顔はつい一時間ほど前までとは180度違う。
「喜んでもらえてよかったぜ。
 あぁ・・・クリフ、ほら、これ。」
言いつつ、カイはクリフに袋に入った何かを差し出した。
「いろいろと本当にありがとう、カイ。」
袋の中身を確認し、そしてクレアに向かう。
「あとで金はもらうからな。」
照れ隠しからか何なのか、カイはそっぽをむいた。
話のわかっているのは当人たちのみ。
「わかってるって。
 クレア、これは僕からのプレゼント。
 よかったら・・・受け取ってくれる?」
静まり返った中、そう言って、袋ごと渡した。
「これって・・・」
その中身は、指輪と青い羽。
「クレア、僕と結婚してください。」
「はい、喜んで。」
真っ赤になって言うクリフに、クレアがすぐに答える。
これ以上はない、というような美しく幸せそうな表情で。

「カイ、どうしたんだ?」
誕生日パーティと共に婚約祝いとなった宿屋内。
その隅で、グレイがカイへと問う。
「何が?別に何もしてねーぞ?」
「お前確か、クレアさんのこと・・・」
「あぁ・・・好きだよ。今までで一番な。」
グレイに言いにくそうにされたのも気にせずに、さらりと言ってのける。
「だったら・・・」
「“だからこそ”だよ。
 これ以上クレアのあんな顔は見たくなかったんだ。
 運よく、クリフから連絡が来たばっかだったしな。
 そうなったら、やることは一つだろ。
 正直、一週間で全て準備すんのは疲れたけどな。
 でも、あの笑顔が見れると思って、頑張った。
 これで、クレアもずっと笑っててくれる。
 それだけで、いいんだよ。
 お前にはわからないかもしれないけど。」
「カイ・・・」
「カイ、グレイ、こっちおいでよ!!
 二人で話してないで。ね?」
「あぁ、今行くよ。
 行かないのか?グレイ。」
カイは、クレアたちのもとへ行った。
グレイも、その後を行く。


一週間後、クレアとクリフは皆に祝福され、結婚式を挙げた。



ありがとう、
ちゃんと迎えに来てくれて。
約束を守ってくれて。
私を忘れないでいてくれて。
今、私はとても幸せよ。
夏、カイが来てくれたから。
だから、あなたが戻って来てくれた。
多分、カイが“誕生日プレゼント”をくれなきゃ戻ってこなかったでしょう?
今年は、二つも最高の誕生日プレゼントをもらえた。
あなたと、あなたの言葉。
今年は、今まで生きてきた中で一番幸せな誕生日。
今まで生きてきた中で一番嬉しい夏の季節。
きっと、これからもずっと―――


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はい、第二回お祭り用御礼の品。
テーマにあわせようと頑張りましたが・・・
夏以外でも可能なストーリーと相成りました;
やっぱりこういうのはむずかしいゎ・・・・・

祭り参加の方で欲しい人がいらっしゃったらドウゾお持ち帰りくださいませ☆



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