勿忘草への手紙





『愛してる・・・』

そう言ってくれた君はもういない。
ずっとずっと求めていたものをたくさんくれた君はもういない。

『私が・・・いなくなったら、私のことを忘れていいからね。
 お願い・・・・・忘れて・・・・・』

無機質な白い病室で、ベッドに横たわった君の姿。
君は、そんな状況でも僕を気遣ってくれた。
でも、その願いは叶えられないよ。
君を忘れられるわけがない。

どうしたって、都会にいれば君との思い出が浮かび上がる。
だから、僕はここへ来た。


君への想いだけを持って―――


君との思い出だけで生きるために―――




ある日、町の牧場に新しい牧場主が来たんだ。
君によく似た面影を持つ女の子。
でも、ずいぶん印象は違った。
君はしっかりしていて、安心して何でも任せられた。
だけど、彼女はなんだか見ているこっちがはらはらするような感じ。

でも・・・僕は彼女に君を重ねていたのかな。
彼女のことを・・・好きになったんだ。

君との思い出だけで生きようとしていたのに。

彼女は、言ってくれた。
忘れなくていい、と。

彼女は君と僕との思い出も全てわかった上で僕を愛してるといってくれた。

ごめん。僕は、これからは君との思い出だけでは生きていかない。

君がこれを読んだら、君は怒るかな・・・?
『そんなの当たり前でしょう?人は思い出だけじゃ生きていけないわ。
 私はあなたの幸せそうな能天気な笑顔が好きなんだから!!
 あなたの沈んだ顔は好きじゃないのよ!』って。

今でも時折君の声が頭の中によみがえる。
今、君がいたらなんて言うかとか、きっとこう言うんだろうな、とか。

そのたびに、思う。

君は、本当に僕にとって大切な存在なんだ。
何ものにも代えられない、かけがえのない存在なんだ。

でもそれは、彼女も同じ。
これから生きていく分、彼女の方が重くなるのかもしれない。
でも、僕は君の分まで彼女を守るよ。
君を守れなかった分、彼女を守る。
神様に誓って。


僕たちはこの冬の君の誕生日、2月8日に式を挙げるんだ。

彼女と一緒に、決めたんだ。
君にも祝ってもらおうと。

もし、女の子が生まれたら君の名前を付けるよ。
男の子が生まれたら、君と一緒に話していた名前を。
これは、彼女も了承してくれている。

君の命日には、彼女と一緒にお墓参りに行くよ。
毎年、家族でお墓参りに行くよ。

君が生まれた日の花、勿忘草を持って―――
君の大好きだった、勿忘草の花束を持って―――

ありがとう、ティアラ・・・・・・・・・

君のことは、ずっと忘れないよ。
いくら忘れろって言われたって忘れるものか。
僕は、君の分まで生きていく。
クレアと共に・・・

      fin.


=====
合歓梨音子さまのHP,虹色の遺産で
やっている『栗坊祭』に出品させていただいたもの。

その性質上、お持ち帰りはされないでくださいませ。

えと。。
クリフの手紙という形式をとっています。
テスト中に一気に書いたからか、今読み返すとかなり壊れてますね;
ああ・・・はずかしい・・・・・

     2004.07.01 書き上げ。
          07.13 アップ    ユウナ


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