「こんにちわぁっ!!」 白い壁の病院に、元気な声が響く。 あまりにも場の雰囲気にそぐわない声。 その声の持ち主は明るい金髪に青い瞳の元気な牧場主。 その目的は――― 「ドクター♪これ、もって来ました〜vv」 その背負っているカゴ一杯に野草が。 買い取ってもらうわけではなく、プレゼントをするために探して採ってくる。 「あぁ、ありがとう、クレアさん。いつもいつも助かるよ。」 毎日の日課。 それは、このドクターの一言を聞くため。 それは、ドクターのこの笑顔を向けてもらうため。 その笑顔を見て、牧場主も自然と最高の笑顔になる。 そこまでは、今までの毎日と何の変わりもなかった。 「あぁ、クレアさんにも言った方がいいかな。」 「え?何をですか?」 突如言われた、いつもと違う言葉。 牧場主は不安げな顔で、それでもまっすぐにドクターを見る。 その顔にはまだ、笑顔が残っている。 「一週間後、結婚するんだ。 式にぜひ出てほしいんだが・・・あいているかい?」 その照れているけれど嬉しそうなドクターの言葉に、 牧場主の顔に残っていた笑顔が固まった。 『結婚』・・・ その相手は勿論自分ではないことを知っているから。 「どうしたんだい? 具合でも・・・悪くなったのか?」 「い・・・いえ・・・ なんでもないです・・・ まだ・・・予定が決まっていないので今度返事させてもらいますね。 じゃあ・・・帰りますから。」 入ってきたときと違い、元気のない声。 それは、牧場主の気持ちをよく表していた。 いつもなら・・・今までなら、心配されれば喜んでいた。 「そうか・・・ならいいんだが。 じゃあ、また明日。」 『また明日』・・・ 嬉しかった言葉が残酷なものとなった。 「何で・・・?」 病院を出た途端に牧場主の青い瞳から涙が流れ出す。 とめどなく流れる涙。 「本気で・・・好きだったのに・・・ 誰よりも・・・好きだったのに・・・」 街に来て、一目ぼれをした。 初めて、本気になった。 笑ってもらえればいいと思っていた。 その相手に、笑いながら一番自分にとって残酷な言葉を言われた。 告白すればよかったのか、と後悔が渦巻く。 「あ、雨・・・ 牧場に戻らなきゃ・・・」 立ち上がり、よろよろと歩き出す。 まだまだ目には涙がたまっている。 でも、今その顔は雨が当たって泣いているのかどうかはわからなくなっている。 「結婚式・・・どうしよう・・・」 その呟きは雨の中へと消えていった――― ただただ笑ってくれればいい そう思っていた でも、違った ちゃんと・・・ 伝えていれば変わったかもしれない こんな思い、しなかったのかもしれない 今は、もう何もいらない・・・したくない 明日からは・・・どう笑っていいのかわからない 今まで、どう笑っていたのかわからない できるのならば、このまま消えてしまいたい そしたら、あなたはどう思う? 悲しんでくれる? それなら、私は今すぐ消える それで、あなたが私の為に涙を流してくれるなら――― ===== お題B、「Broken Heart」です。 とりあえず・・・まだまともに「失恋」ぽく・・・なりました?(聞くなよ 本当はこの後の話も書きたいんですが・・・無理でした。 っていうか、それ書いちゃったらもう短編でもなんでもなくなります。 何か機会があったら書きましょうかね・・・ それよりも・・・ 私のこの下手さはなんでしょう? ん〜・・・スランプ、かなぁ? いや、もとからこうか・・? 2004.06.13 ユウナ |