Secourir et Defendre

「こんにちわ、ドクター。」
図書館の薄暗い静寂の中、鈴のような声が響いた。
この春やってきた新米牧場主の声。・・・僕の患者の声だ。
「あぁ、こんにちは、クレア君。
 調子はどうだい?」
「大丈夫ですよ、ドクターv
 そんなにすぐ倒れるほどやわにはできていません。」
そういって笑う彼女は元気いっぱいのように見える。
「君の“大丈夫”はあてにならないな。
 それで何回調子が悪くなっているかわからないのか?」
「大丈夫ですって。
 ドクターは心配しすぎなんですよ。
 ・・・自分の体のことは自分が一番よくわかります。」
その元気そうな様子に、町の人は何も気付いていない。
・・・彼女が、体に爆弾を抱えていることに。
「医者の僕が言っているんだ、ちゃんと聞きなさい。
 君は・・・・・」
「言わないでください。
 それに、ドクターの言っていることは聞いているつもりですよ?」
「聞いていないだろう。
 本当なら・・・君は入院していなければいけないんだから。」
「・・・・・・・」
沈黙が返ってきた。
本当なら、ここで牧場なんて重労働をできやしない。
「大丈夫です。
 私、ここに来てから調子がいいんですよ?
 今まで、こんなに調子よかったことないですし。
 だから、大丈夫です。」
いつも、こうだ。
結局は僕が折れてしまう。
彼女の強い意志を持った目に、勝てない。
「わかったよ・・・・・
 でも、ちゃんと病院に診察に来なさい。
 いつもいつも忙しいからと言って来ないじゃないか。」
「はいv
 もし、発作が起きても大丈夫ですよ。」
彼女は明るく言った。
「だって・・・・・ドクターが治してくれるでしょう?
 ドクターなら、できますよね?」
「・・・・・・・・頑張るよ。」
「じゃあ、私行きますねv
 ドクター、私の病気、治してくださいねv」
にっこりと明るい笑顔を見せて、1階へ降りていった。
約束したからには・・・頑張らないとな。


「できた・・・?」
今、僕の手には少量の液体の入った試験管が。
彼女の病気に効く、特効薬・・・のはずだ。
急いで二階へ駆け上がる。
今、彼女はここに入院している。
病気が・・・悪化して。
「クレア君。」
「あ、ドクター。」
青白い顔。
今の彼女に、前のような元気さはない。
以前より、やつれてしまった。
医者である僕がいながら・・・
「これを・・・飲んでみてくれるか?」
「これ、ですか?わかりました。」
一気に飲み干し、試験管を戻してきた。
「気分はどうだい?」
「なんか・・・楽になりました。」
よかった・・・失敗ではなかった・・・
「それならよかった。」
「ありがとうございます、ドクター。」
今の彼女の顔は、さっきまでとはまた違う。
以前のような・・・とまではいかなくても、元気そうな笑顔が浮かんでいる。
「お礼を言われるようなことはしていないよ。
 医者として、当然のことをしたまでだ。」
「ドクター・・・」
本当に、よかった。
彼女が元気そうになってくれて。
「私・・・ドクターにはどれだけ感謝の言葉を言っても言い足りません。
 好きな人に、命を救ってもらえるなんてすごく嬉しいです。
 ・・・不謹慎かもしれないですけど。」
・・・え?
今・・・彼女はなんと言った?
彼女の顔は、赤くなっている。
今、僕はなんと言われた・・・?
「ドクター・・・ずっと、好きでした。
 ・・・迷惑なら、そうおっしゃってください。」
「迷惑なんてことはないよ。」
口が勝手に動く。
「僕だって、君のことが好きだったんだ。
 だから、君の病気を治したいと思ったんだよ。」
これが・・・僕の本心か?
そうか・・・僕は、最初から彼女に心奪われていたのか。
だから、彼女だけは救いたいと思ったのか。
「ドクター・・・ありがとうございます。」
「クレア君、ありがとう。
 感謝の言葉を言うのはこっちの方だよ。」

後日、都会の病院へと二人で行った。
彼女の病気は、不思議なほどに縮小されて、後は消えるだけだといわれた。
僕の薬がよかったのかなんなのか。
それは、もう誰にもわからない。
でも、これだけはいえる。
『彼女を完全に救えた』・・・・・
僕の人生の中で、これほど誇りに思えることは最初で最後だろう。
これからは、僕は彼女を守って生きていく。
教会にいる、僕の友達に・・・その友達が仕えている女神様に誓って。


=====
キリ番4000、来夢様へ。
リクエストは『ドクター×クレア』。
ドクター書くのは初めてだったりします。
ちゃんとドクターになっているのかなぁ・・・(不安
いつものごとく文がまとまっていない気が。。
もうそんなこと言ってもどうしようもないんですけどね;
お持ち帰りは来夢のみでお願いいたします☆

     2004.07.26  ユウナ
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