Want Your Smile ...





「ドクター!!」
ばんっ!という音と共に、グレイが診察室へと飛び込んできた。
その背に、少女を担いで。
「グレイ、もう少し静かに入ってきてくれないか?
 ここは病院なんだから。」
立ち上がってグレイが担いでいる少女を受けとってベッドへと寝かす。
彼女はつい3ヶ月ほど前に来たばかりの牧場主。細い身体で広い牧場を一人でやっている。
無理をするから、疲れがたまって誰かしらに此処へと運ばれてくる。
「静かに入ってこいって言われても・・・」
「今度からは気をつけてくれ。
 クレアくんは大丈夫だから、帰っていいよ。
 どうせまた修業を抜け出してきたんだろう?」
グレイは赤くなり、病院を出ていく。
いつものことながら、図星だったみたいだ。
運んでくるのが誰にしろ、いつもこんな感じになる。
彼女は僕と違って誰からも好かれる性質だから・・・
「このベッドもクレア君のためにあるようなものだな。」
僕がミネラルタウンに来てからずっと、この病院に一つだけのベッドは使われなかった。
そう、彼女が来るまでは・・・。
この街の人達は健康な人が多く、入院が必要になることなんてなかったから。
そんな中、彼女が来た。
頑張って頑張って、頑張り過ぎてここに運び込まれる。
それが、二週間に一回、多いときには三回以上。
僕としては、もう少し頑張らないでほしいものだが・・・
「・・・ドクター・・・?」
「あぁ、目が覚めたかい?
 君はまた倒れたんだよ。
 今日は一日、ここで寝ているようにね。」
クレアくんは途端に跳ね起きる。
この後、彼女が言う言葉は予想がつく。
本当に・・・どうやったらここまで頑張ることができるんだか・・・
「まだ仕事が・・・!」
「今日はもうよしにしておきなさい。
 クレアくん、君は頑張りすぎなんだ。もう少し気楽にはやれないのか?」
僕には理解ができない。
彼女がどうしてここまで仕事をしようとするのかが。
「牧場の仕事は楽しいですから。
 少しでも、元の綺麗な牧場にしてあげたいし」
「そうか・・・
 しかし、無理して倒れていたら元も子もないだろう?
 街の人達だって、心配をしているんだから。」
「それは・・・」
「クレアさん、大丈夫!?」
彼女の蒼の瞳が、微かに揺れた。
それとほぼ同時に、カーテンがすごい勢いで開けられる。
どうして誰も彼もこううるさく入ってくるんだか・・・
「大丈夫だよ、クリフくん。」
彼女は入口にいるクリフに、優しく笑いかけている。
僕には、決して向けない笑顔。
今まで・・・一回も僕は笑いかけられたことはない。
そう思うと、少し悲しくなるとともにむかついてくる。
「クレア君は一日安静にしてなければならないんだ。
 彼女は大丈夫だから、仕事に戻りなさい。」
感情を押し隠し、クリフへと言う。
彼は僕を不満そうに見上げる。
僕より15cmほど背の低い彼はとても不満そうだ。
僕を見上げたその目がよく物語っている。
「・・・クリフ、クレア君を疲れさせたいのか?」
「・・・わかりました。
 じゃあクレアさん、よく休んでね。」
目は口ほどに物を言うとはこのことだ。
そう思えるような顔で、クリフは出て行く。
感情を隠さないというのも考え物だな
「ドクター、あんな言い方しなくてもいいんじゃないんですか?
 私は大丈夫ですよ?せっかく心配して来てくれたのに・・・」
「君は倒れたんだ。大丈夫なワケがないだろう。」
しばらくの沈黙のあとの、責めるような言い方。
彼女は僕に対してこんなカオしかしない。
申し訳なさそうだったり、責めるようだったり。
まぁ、後者の方は僕が悪いんだろうが。
「・・・なんでそんなにイライラしてるんですか?」
まさかそんなことを言われるとは思わなくて、絶句した。
そのカオはどこか不安げで・・・僕は彼女にこんな表情をさせたいワケじゃない・・・
「大丈夫よ、クレアちゃん。」
僕が口を開く前にエリィが答えた。
いつの間に・・・
「エリィちゃん?」
「ちょーっとすねてるだけだから。
 ねぇ、ドクター?」
すね・・・っ!?
ただムカムカしているだけなんだが・・・
「すねてる?」
「何を言うんだ、エリィ。
すねてなんかいるわけないだろう?」
「ドクターは向こうへ行っててください。
もうそろそろリリアさんがいらっしゃる時間ですよ?」
エリィがそう言った直後、まるでタイミングをはかったかのようにリリアさんがやってきた。
まさか放っておくわけにもいかないので、病室をはなれる。
「私がいいって言うまで入ってきたらだめですからね。」
その言葉で、カーテンが閉められる。
しょうがないか・・・仕事は仕事だから。

「じゃあ、また来週来て下さい」
「ありがとう、ドクター。
そうだ、クレアちゃんは大丈夫?そこにいるの、クレアちゃんでしょう?」
「あぁ、彼女は大丈夫ですよ。
いつもと同じ、頑張りすぎですから。」
皆、クレア君を心配する。
わざわざ此処まで来る人だっているほどに。
「ドクター、クレアちゃんに無理させちゃだめですよ〜?」
「僕は無理させてなんかいませんが・・・?
むしろ、頑張るな、と・・・」
何故僕が言われるんだ・・・?
リリアさんはきょとんとし、首を傾げた。
「だって、クレアちゃんは貴方に会うために・・・」
・・・え?
「ドクター、入っていいですよ。
リリアさん、今日もいつものお薬ですね?」
「えぇ。
私、言っちゃいけないこと言っちゃったかしら・・・?」
「平気ですよ、リリアさん。
ドクター、入るならさっさとはいったらどうですか?」
「あ、あぁ・・・」
僕に会うために―――?

「・・・顔が赤いですよ?熱でも・・・」
「平熱だ。熱が出ているのだったら仕事はできないよ。」
赤くなっているとしたら、リリアさんの言葉が頭の中で回っているからだろう。
ありえないことだとは思うが・・・
「ムリはしないでくださいね?」
「あぁ、わかっている。でも、それは君が言える言葉ではないな。
君は、無理をしてもう何回も運び込まれているじゃないか。」
無理をするな、というのであれば自分を棚に上げて言っている言葉になる。
それは、あまり褒められたことじゃないからな・・・
「そ、それは・・・」
言葉に詰まり、その顔が赤くなっていく。
・・・僕は何か悪いことでも言ったのか?
「ドクターに・・・ドクターに会いたくて・・・・・・」
・・・え?
「心配してもらえるのが嬉しくて・・・
でも・・・何もないのに病院にもこれないし・・・
牧場が綺麗になっていくのも嬉しかったから・・・
無理して倒れてでも会いたかったんです
私・・・ドクターのことが好き・・・だから・・・・・・」
・・・驚いた。
「元気でもなんでも来てくれればいい。
来る度に運び込まれているんじゃどれだけ心配してもしたりない。
君は僕を心配のしすぎで殺す気か?
君が来る度僕は心穏やかではいられないんだから。
お願いだから、これ以上心配させないでくれ。」
「それは・・・
それは“お医者さま”としてですか・・・?」
“医者”としてならここまでの心配は絶対にしないだろう。
「違う」
「それって・・・・・・」
「クレア君、僕も君のことが好きだ。」
つい今さっき、気付いた自分の気持ち。
いらいらしていたのも、全てこのせいだったのか。
全て納得がいった。
「ドクター・・・ありがとうございます・・・」
そういいながら、彼女は笑った。彼女が、初めて僕に向けてくれた・・・・笑顔。
それだけでも、嬉しいものなんだな。
「・・・?ドクター、どうしたんですか?」
「初めて笑ってもらえた。それが嬉しくてね。」
「これから、いくらでも笑いますよ。
だから・・ドクターも笑ってください?
いつもいつもそんな顔じゃ、楽しくないでしょう?」
あぁ、確かにそんなに笑ったこともないな・・・
「・・努力するよ。君に言われてしまったしな。」
「そうしてくださいv
それで・・・・ずっとずっと、一緒に笑ってましょう?」
そう言って、彼女はとても幸せそうに笑う。
「そうだな。」

―――君が笑っていてくれるなら、いくらでも笑ってやるさ。
                だから。
    その笑顔を、曇らせないで僕に向けていてほしい―――



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朝陽あれふ様へ、相互御礼でございますv
えと・・・約3ヶ月??(爆
そ・・そんなにお待たせしてしまってすみません・・・!!
しかも、リクに答えてないかもしれない・・(汗
『ドクターが嫉妬する』・・・してますでしょうか?(汗汗
び・・微妙。。
頑張って書いたのですが・・どうでしょう?
もちろんもちろんもちろんもちr・・(省略)返品可能ですので・・・・!!

   2005.01.30  ユウナ

題名はあれふ様命名ですv(ぇ

   2005.02.09 あっぷ。


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