夏の月28日、朝6時。 まだ暑さもなく静かな街に二人の男性の声が響く。 「いいだろ!? 俺は夏しかいないんだから!!」 「ダメに決まってる! カイなんかとクレアさんを二人きりにできるものか!」 声の主は褐色の肌に紫のバンダナの青年と毛先が金の茶髪の青年。 歩きつつ口論らしきものをしている。 「クリフ・・・お前、人を何だと思ってるんだよ!」 「女たらし。」 褐色の青年――カイの問いにもう一人――クリフが即答した。 「な・・・っ!何人聞きの悪いことを!! 俺は女たらしなんかじゃねぇ!!」 「女たらしでしょ、十分。」 「・・・お前、やっぱりこの一年で性格変わったな。」 「そう? だとしたら・・・クレアさんのおかげだね。 僕を・・・許してくれたから。」 クリフはカイの呟きに幸せ沿うな笑顔を零しながら律義に答える。 「あ、クレアさん、おはよう。」 カイが反応を示す前にクリフは目的地であった牧場の主を認めて声をかけた。 「クリフ君、カイ君、おはよう。 こんなに早くどうしたの? おつかい?」 牧場主――クレアは眩しい笑顔を見せ、応えた。 「ううん、手伝いに来たんだ。」 「クレア、今日も綺麗だな」 ほぼ同時に口を開いた二人の目の前でクレアは笑い出した。 「二人とも、仲いいよね♪ 羨ましいぐらい。」 その言葉に、二人は一瞬固まり、顔を見合わせる。 二人とも、なんでこんなやつと・・・とでもいいたそうだ。 「そう・・・かな?」 「仲良くなんてないぞ?」 「仲いいじゃない。 毎日、こうして一緒に来てくれるし。」 クレアの言うとおり、二人は夏になってからほぼ毎日牧場へと足を運んでいる。 「そっ・・・それは・・・っ!!」 なお反論しようとしたクリフの肩をカイが叩く。 そういうことにしとこうとでもいいたそうに。 「で、クレア? 手伝うことはあるか?」 「ん〜・・・ 特にないかな。今日はあとこの出荷だけだし。」 そういって指差したのは一面のパイナップル畑。 「これ全部やるの!? ・・・手伝うよ。」 もちろんそのパイナップル畑にはほとんど全てに実がついている。 普通に考えれば、一人でやるという時点で無理な話だ。 「大丈夫だよ?」 「・・・頼むから、無茶なことはしないでくれ。」 ケロリと笑顔で言う細腕の牧場主に、カイが言う。 結局、クレアが折れて二人は手伝うことになった。 「ありがとう、クリフ君、カイ君。 はい、食べよう?」 もうお昼も近くなった頃、全ての出荷を終えて、クレアが冷えたパイナップルを持ってきた。 「あ、ありがとう。」 「パイナップル!? よっしゃぁ!! サンキュー、クレア!!」 パイナップルが大好物のカイは本当に嬉しそうに食べ始める。 「カイ君、本当にパイナップルが好きなんだね。」 そんなカイを見て、にこにこと満足そうに笑いながらクレアは言った。 「あぁ、お前の次にな。」 「!?」 さらりと言ったカイに、クリフが驚いてなんともいえない顔をした。 「あはは、ありがとう♪ 私もカイ君のこと好きよ。」 その言葉で、カイもクリフも信じられないような顔をした。 ただ、カイの顔はとても嬉しそうに、クリフの顔はカイの顔とは正反対の表情になっていた。 「もちろん、クリフ君も。 これからも仲良くしてね、二人とも♪」 そんな二人のことは意に介さず、クレアは言葉を続けた。 その言葉で今度はクリフが幸せそうな表情になり、カイはさっきのクリフと同じような表情に。 「うん、仲良くしようね♪」 「しょうがねぇなぁ・・・」 てくてくてく・・・・・ 「やっぱり・・・クレアは天然だよなぁ・・・」 「そこがいいところじゃないの?」 牧場からの帰途、二人は牧場主について話していた。 「もう、夏も終わるってのに・・・ 今年もだめだったかぁ」 「僕は秋も冬もずっとクレアさんと一緒にいられるし♪」 カイのアタックももう二年目が終わる。 『女たらし』と呼ばれる彼が落とせないほど“天然”な牧場主。 「よしっ!決めた!!」 カイは突如、威勢のいい声で叫ぶ。 「俺、これからもずっとここにいるわ。」 「はぁっ!?」 突然の“決心”にクリフが間抜けな声を出す。 「ぜ〜〜〜〜〜〜〜〜ったい、お前になんかクレアを渡してやらない。 どっちが先にクレアを落とすか、勝負だ!!」 「はぁぁぁっ!?」 にかっと笑って言うカイの突然の勝負宣言(?)にクリフの顔がもっと崩れる。 「カイ・・・クレアさんは落とす落とさないの問題じゃないんj・・・」 「あれ?自信がないのか? だったら遠慮なく、クレアは俺がもらうぞ?」 正論を言おうとしたクリフの言葉を遮り、カイは自信たっぷりに言う。 「・・・」 ブチッ・・・と何かが切れる音がしたのは気のせいか。 クリフの顔が、変わった。 「やってやろうじゃないか・・・ 僕も本気でいくからね!!カイには絶対クレアさんを渡さない!!」 クリフが叫んだ。 その叫び声は、たまたま人通りのなかったアージュワイナリー前の道に響いた・・・ 一輪の花を賭けた太陽と雪の勝負 勝利の女神はどちらに微笑む? 百戦錬磨の太陽か、素朴で物静かな雪か 待ったなしの勝負は始まった――― ===== 帆志蒼春様への捧げモノ。 リクは・・・『カイvsクリフ』 はぃ、なってませんね; どっちかというと・・・序章って感じですか?(ぉぃ 最後の詩の前、「アージュワイナリー前の〜〜」っていうのは、 もしマナさんが聞いてたらすごいことになるだろうなぁ・・・みたいなこと考えてw さぁ、クリフの叫びはアージュワイナリーその他のお家の中にまで 聞こえるほど大きかったでしょうか?(笑 その辺り、そしてこの勝負の行方は想像にお任せということでww(マテ 案外、グレイとかドクターとかが横から奪ってったりするかもですよ?(ぇ お持ち帰りは蒼春さまのみでw 蒼春さま、もちろん返品OKですので。。 2004.06.28 ユウナ |