Neige de Printemps



「クリフ君、おはよう!!」
静かな教会に元気な声が響いた。
その声の主は金髪の美少女。
つい最近街にやってきた若き牧場主。
「・・・おはよう」
「おはようございます、クレアさん。
 今日も元気ですね。
 さて、私は少し裏庭の方にいますからなにかあったら呼んでください。」
「はい!!
  クリフ君、こんなにいい天気なんだから外に行こうよ!
 教会にいるのもいいけど、少しは山とか行こう!
 ね、クリフ君!!」
クレアと呼ばれた金髪の少女は奥にいた少年に声をかけ、腕を引っ張る。
「いいよ・・・
  僕はここにいたいんだ。放っておいて。」
クリフはその手を振り払い、言った。
どこか悲しげな瞳で。
「・・・」
クレアはそれを見、クリフの隣に座る。
そして蒼の瞳を閉じ、何かを祈りはじめた。

「おや、クレアさんが祈っているなんて珍しいですね。
  何か・・・ありましたか?」
しばらくして裏庭から出てきたカーターが驚いたように言う。
「ひっど〜いっ!
  私が女神様にお祈りしてちゃいけないんですか?!」
閉じられていた瞳が開き、叫ぶように言うクレア。
「いえいえ、そんなことはないですよ。
  女神様に祈りを捧げるというのはいいことですしね。
  何か相談したいことがあるのなら向こうへ行きますか?」
カーターはにこにこと微笑みつつ奥の小部屋への扉を指差す。
「・・・カーターさんって何でもわかっちゃうんですね。」
クレアは観念したように笑って、懺悔室へ向かった。
さっきのような元気のよさは見当たらない。
教会にはクリフのみが残された・・・

『で・・・相談したいこととは?』
薄暗い懺悔室の中、優しげな声がする。
もちろん、それはカーターの声。
『私の・・・クリフ君に対する態度って間違えてますか?
 クリフ君、私には何も話してくれないんです。』
今のクレアの様子は教会で――クリフの前で見せる元気な様子とは180度違う。
『それは・・・戸惑っているだけですよ。
 あまり気にせずに自分が思うように進んでみたらどうですか?』
『はい。』
カーターの言葉を受け、クレアの顔に笑顔が戻る。
『大丈夫ですよ、クレアさん。
 何事も、信じていれば上手くいくものですから。
 女神様は、きちんとわかってくださりますよ。』
『ありがとうございます、カーターさん。』
そう言い、クレアは出て行った。
『クリフの中で、あなたはきっと大きな存在になりかけていますから。
 これからの二人の幸せを、願いますかね・・・』

「おや?クレアさんは帰りましたか?」
カーターが懺悔室から出てきて、最初に見える位置にいたのはクリフのみ。
「帰りましたよ。」
あまりにそっけない言葉。
それを聞き、カーターは苦笑した。
「クリフ・・・」
「何ですか?」
「あなたは、クレアさんをどう思っているのですか?」
無表情で聞き返したクリフの顔が途端に赤くなる。
「なっ・・・・
 ・・・・・・・・・元気があっていいと思いますよ?
 僕には・・・ないものですから・・・」
「そうですか。
 クリフ、あなたはもう許されていますよ?
 いつまでも過去にとらわれてはいけません。
 あなたはまだ若いのですから。」
その心の中はいざ知らず、カーターの笑った顔は聖人の様。
「カーターさん・・・?」
「クレアさんが現れたのが何よりの証拠だと思いますが?
 クリフ、明日クレアさんが来たら笑ってあげなさい。
 きっと、とても喜びますよ。
 それにそうすればあなたも許されたように感じることでしょうし・・・」
クリフは目を見開き、何かを言いたそうにしている。
「さぁ、もうそろそろ閉めましょうかね。
 片づけを手伝っていってくれるのですか?」
「・・・わかりました。」
クリフは観念したように言う。
その言葉はどれにかかっているものか。


次の日―――

「おはようございま〜っす!!」
いつものように元気な声が響く。
「おはよう、クリフ君ww」
「・・・おはよう。」
ここまでは、いつもと同じ。
その後が違った。
「・・・!!」
クレアが、蒼の瞳を見開く。
その目線の先には、クリフの笑顔。
そのクレアの顔は、見る間に赤くなっていった。
そして、へなへなとへたり込む。
その瞳には、涙が溜まっていく。
「どうしたの?クレアさん。」
クリフの纏う雰囲気が明るくなっている。
まるで、何かが吹っ切れたかのように。
「うれし・・・・くって・・・
 クリフ君が・・・笑ってくれるなんて・・・っ・・・」
「え・・・」
クリフはその言葉を聞き、わたわたと慌てはじめる。
どうやら、どうしたらいいのかわからない様子。
カーターはそれを満足そうに眺めている。
にこにこと、いつもの笑顔で。

     ―――この二人が結婚したのは一年後のこの日だった―――


   冷たく凍った雪の心

   その雪を溶かしたのは春の優しくも暖かい太陽

   雪が解ければ春になる

   春の雪が解ければそこには幸せがやってくる

   春の雪と太陽に、永遠の幸せを―――


=====

はぁ・・・書き上げました。
仁菜様への捧げモノ、Neige de Printemps。
直訳すれば『春の雪』。
そして、リクエストは『クリクレ』。
とりあえず・・・なってますかね?
ちょっとした空き時間でぽちぽちと携帯で打ったものです。
なので、話がめちゃくちゃになっているかと。。
言い訳・・・ってわけではございませんが。
もちろん仁菜様以外持ち帰り厳禁です。
仁菜様、返品OKですので。

     2004.07.01  ユウナ
                 期末テスト真っ只中に。

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