第9話

「寝るまでここにいるからな」
カイちゃんが言う。
私、眠くないんだけどなぁ・・・。
「だりあちゃん!!」
私の名前を呼びながら、カレンちゃんが来た。
後ろには、マリーちゃん。
「カレンちゃん、マリーちゃん。どうしたの?」
「目が覚めたって聞いたから。
だりあちゃん、もう大丈夫なの??
心配したんだよ?」
心配してきてくれたんだ。うれしいなぁ。
「うん。大丈夫。」
カレンちゃんたちとは、この頃やっと普通に話せるようになった。
「へぇ〜。ダリが普通に話してる。」
カイちゃんが感心してる。それもそうだよね。
「よかった〜。心配してたんだよ。」
カレンちゃんが言う。
「これ、お見舞い。
図書館の本だけど、面白いから読んでみて。」
マリーちゃんは、一冊の本を持ってきてくれた。
『花の気持ち』と言う題名だ。絵本のような感じ。
「わぁ!!クレアさん、どうしたの?!」
カレンちゃんが、泣いてるお姉ちゃんに気づいて、びっくりしてる。
「ううん、なんでもない・・・・」
そんなにミル兄が生きてるってわかったのが嬉しいのか・・・。
「でも・・・。」
「だりあがね、夢を見てくれたの。」
「「夢?」」
カレンちゃんとマリーちゃんが声をそろえて言う。
お姉ちゃんも、なんで信じてるんだろう。
夢は夢なのに。夢以外の何モノでもないのに。
「うん・・・。夢。
私の・・・大切な人が生きてるって夢。」
「「でも、夢でしょう?」」
二人が異口同音に言う。
「それでも、いいの。
それはだりあがミールのことを思い出してくれたってことだから。」
あれ?カイちゃんがいない。
外にでも出てるのかな?
「そうなんですか。」
「うん。」
お姉ちゃんが泣き止んだ。よかった。
「あ、じゃあ、私たち帰りますね。
あんまりいても疲れるだろうし。」
「あ・・・、ありがとう!!来てくれて。」
「ありがとう。だりあを心配してくれて。」
「はい。じゃぁ、さよなら。またね。」
「あ、本は読み終わったら返しに来て。」
「うん、わかった。」
つかの間の訪問者たちは帰っていった。

「びっくりしたなぁ。ダリが普通にしゃべってるなんて。」
びっくりした・・・。カイちゃんがいきなり声をかけてきた。
「まぁね。努力の結果よ。何ヶ月かかかったんだから。」
お姉ちゃんが言う。
今でも時々だめになるけどね・・・。
「ふぅん。なんか寂しいなぁ。」
えっ?
「なんで?」
「いや、なんとなく。ほれ、ダリは寝ろ。」
「えぇ〜〜。マリーちゃんが持ってきてくれた本読む〜。」
「明日でいいだろ。明日で。
本は逃げるもんじゃないんだから。」
カイちゃん、厳しいなぁ。
「はぁい。わかりましたぁ。」
「よし!!」
なんか、子ども扱いされてる・・・。
そして、私は眠りの中へ落ちていった。

・・・・・

「まさかだりあの力が戻ってくるなんて思ってなかったわ・・・。」

「『夢見』のこと?」

「うん。『あの人』の記憶がなくなってから・・・アズサと別れてからは
現れなかったからもう戻らないものだとばっかり思ってたのに。」

「これも神様の思し召し。
ってところなんじゃない?クレアさん。」

「そうかもね。ただ・・・。」

「ただ?」

「また『あの人』のことを思い出すかもしれないとなると・・・ね、ちょっと。
ううん、時間がたてば、思い出す・・・っていうのはわかってるんだけど・・・。
それに、アズサのことは思い出してほしいと思う。セイヤのこともね。
これは・・・ワガママなのかしら。」

「大丈夫だよ。ダリは。きっと。
ミールのことを思い出したんだ。
セイヤや、アズサ姉のことも思い出すさ。」

「カイくんがいてくれてよかったわ。
あなたがいればだりあは平気みたいだから。」

「クレアさん、俺・・・ここにいるの夏の間だけなんだ。
ダリがいるからどうしようかとは思ってるんだけど、
とりあえず一回ここを出て後始末をしにいかなくちゃならないし。」

「そう・・・。カイくんの思うようにして。
だりあのために人生を決めるのはよくないわ。」

・・・・・

   「一途な花」には友達が出来た

   生まれて初めての友達が

   自分を心配してくれる友達が

   一途な花は何を思う


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