第15話・裏
「クレア!これでいいのか?」
俺は、クレアの仕事の手伝いをしていた。
「あ、うん!ありがとう。」
これで、今日の仕事は終わりらしい。
「なあ、クレア。
だりあ、どうして俺のこと思い出したんだ?
アズサは、俺の記憶もなくさせたはずだ。」
昨日から考えていた事をクレアに聞いてみた。
「え?どうして?」
クレアはなんでもないようなカオをして聞き返してるけど、俺にはわかる。
「だりあ、最初俺のことわかってなかっただろ。
それが当たり前だ。
・・・俺の記憶はないはずなんだからな・・・。
でも、俺のことがわかった。
だったら、一緒にアズサやアイツのことも思い出してるはずだろ?
それに、だりあの俺に対しての呼び方が違ってた。
思い出したなら、昔と同じ呼び方のはずだ。」
「・・・やっぱり、セイには隠し事はできないね。」
クレアは、やっぱり何かを隠してた。
「だりあね、ミールのこと思い出したの。
『夢』でね、会ったんだって。」
・・・は?ウソだろ?
『夢見』の力は・・・封印したはずだ。アズサが。
「何言ってんだよ。『夢』で会うわけないだろ?
だりあの力は、アズサが封印したんだから・・・。」
それは、十年ぐらいはとけないはずだ。
「あなただけじゃない、私もそう思った。
・・・ミールからの伝言を聞いて、うれしくてそれどころじゃなかったんだけど。
たぶん・・・ミールと会ったときにセイのことも思い出したんだと思う。
少しだけ、記憶が変わってるみたいだけどね。
アズサの言ってた『改ざん』はセイ、あなたのことまで含まれてたらしいわ。」
俺のことも・・・?
「ミールのことを思い出した拍子に俺のことも思い出した?
・・・どうしてだ?」
「たぶん・・・思い出しかけたときにセイがちょうど来たから・・・
だから、すんなり思い出したんだと思うわ
それに・・・たぶんアズサはあなたの事に関する記憶は
そんなに忘れさせてなかったんだと思う・・・」
アズサ・・・あいつ、そんなことしたのか・・・。
「で、アズサとアイツのことはまだ思い出してないんだな?」
「うん。幸か不幸か、ね。
アズサのことは思い出してほしいけど・・・。
でも、セイ、あなたに関してのこともまだ忘れてると思うわ。」
「は?だって思い出したんだろ?」
なんで、覚えてるのに忘れてるんだ?
「だ・か・ら、あなたとあの人、それにアズサの全員に関係する記憶はまだ忘れてるの!」
ああ、そういうことか。
「ねえ、セイ。あの人はどうして死んだの?」
ん?アイツのことか・・・。
「ああ。恨まれてたヤツに刺されて死んだよ。
アイツにはお似合いの死に方だと思う。
いや、もっとひどくてもよかったかもな。
・・・だりあが、アイツから受けた苦しみに比べれば・・・な。」
「そう。そうかもね・・・。」
クレアは、目を伏せながら言った。
「だろ?」
「セイ、あなたはいつまでここにいるの?」
話をそらしたな。ま、いいけどな。
「いつまでだろうな。
とりあえず、だりあの記憶が完全に戻るまではいようかな。」
まだ、これから先のことは何も決まってない。
とりあえず・・・
二人にアイツが死んだことを知らせないとと思ってこっちに来たからなあ。
まさか、カイまでいるとは思わなかったが。
「クレアさ〜ん!」
牧場の入り口から、女の子がクレアを呼んでいる。
「??あれ、だれだ?」
「ランちゃん。
セイ、あなたが昨日、それにこれからも泊まる予定の宿屋の娘さんよ。」
「クレアさ〜ん!ちょっとこっちに来てくれる〜??」
こっちに来ればいいと思うんだが。
「セイ、ちょっと行ってくるね。」
そういって、クレアはランって子のところに走って行った。
カイが『約束』をまだ守ってたのはびっくりしたな。
いや、それともただの偶然だったのかな?
『約束』・・・。
俺の役目は終わったな。
俺の役目はアイツをクレアとだりあに近づかせないことだったから。
あいつが死んだ今、その約束はもういらない。
アイツを監視するために、俺はアイツについてたんだ。
あわよくば、クレア、だりあを苦しませたアイツを始末するために。
それは他のヤツがやってくれたけどな。
7年・・・か。
クレアとは時々だりあの様子を聞くために会ってたけど・・・
だりあとはずっと会ってなかったからなぁ。
でも、あの様子なら・・・・・
「セイ!!何ボーっとしてるの?」
「あれ?話はもう終わったのか?」
結構深く考え事してたから、気づかなかった。
「もうとっく。」
「そうか。」

だりあが、カイと帰ってきた。


   月は、大切に思う花たちに人生を捧げた

   愛しい愛しい花たちの為に

   でもそれを花は知らない

   月は、見返りを求めないから

   いつになれば月は開放される

   それは、きっともうすぐ・・・


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