第21話・裏

「もうそっち行ってもいい?」
ランさんだ。
「いいけど・・・」
カイが答える。
・・・また、怒られそうな気が・・・。
「あ、クレアさん起きたんだ。よく寝たね。」
ランさんが、こっちへ来る。
まだ、だりあが泣いてることに気づいてない。
「あ、だりあちゃん、どうかしたの?
・・・二人が泣かせたの・・・?」
怖い・・・。このまま行くと・・・・。
「違うの、ランちゃん。気にしないでおいてあげて。」
クレアが言った。よかった。
「気にしないで、っていうほうが無理だよ。クレアさん。」
ランさんが言う。そりゃそうだ。
気にするな、って言われる方が気になる。
「・・・それもそうね。でも、聞かないで。お願い・・・。」
ランさんは、不満そうだったが、あきらめたようだ。
そして、だりあの近くのいすに座った。
だりあが泣きやむまでそこにいるつもりらしい。

「こんにちわ〜。お兄ちゃんは?」
ポプリだ。
リックを迎えに来たらしいが、生憎まだ寝ている。
「あ、ポプリ。リックを迎えに来たのか?」
カイが聞く。それ以外に、考えられるのか・・・?
「うん。だけど・・・まだ寝てるね。」
隅に転がされているリックを見て言う。
「あれっ?だりあちゃん、どうかしたの?」
ポプリも、だりあが泣いているのに気づいた。
「ちょっとね・・・。」
クレアが答える。
ポプリも、無言でだりあのそばに座る。
・・・心配そうに。
だりあは、いい友達が出来た。
そう思った。

しばらくして、グレイとクリフが連れ立って帰ってきた。
そして、やっぱりだりあが泣いていることに気づき、心配そうにしていた。

リックが起きた。
まだ、だりあは泣きやまない。
今、ここでだりあは「幸せ」に生きている。
本人は気づいていないかもしれないが、「幸せ」だ。
そう、実感する。

だりあが、周りに人が増えているのに気づいた。
「大丈夫?どうかしたの?」
ランさんがだりあに聞く。
「ううん、なんでもない・・・」
だりあは、笑って答えた。
でも、その笑顔はニセモノだ。
無理をしている顔。
その証拠に、まだ涙が目にたまっている。
「何でもなくなんかない!!
なんで、そんなに無理して笑うの!?」
ランさんは、目に涙をためている。
だりあのことを思って。
「無理してなんか・・・」
だりあは、さらに言う。
「してるよ!!ポプリにだってわかるもん!
だりあちゃん、泣きたいときに笑うのはおかしいよ!」
ポプリが言う。
ポプリの目にも、涙がたまっていく。
「ランちゃん、ポプリちゃん・・・。」
だりあの目から、再び涙が流れ落ちる
「ダリ、好きなだけないていいから。
涙がかれるまで泣けばいい。」
カイのその言葉でだりあは、本格的に泣き出してしまった。
さっきと違ったのは、ランさんとポプリも一緒に泣き出してしまったこと。
二人とも、自分で自分がわからないようだった。

三人が泣いている間、デュークさんは起きて、帰っていった。
たぶん、三人が泣いていることに気づかずに。
そして、ダッドさんがきた。
ダッドさんは、だりあたち三人が泣いてるのを見て、びっくりしていた。
「おい、ラン!?どうしたんだ?!」
ランさんに聞いている。
「お父さん・・。
だりあちゃんが・・泣いてるの・・見てたら・・涙が出てきて・・・。」
ランさんが答える。「もらい泣き」ってところか?
「だりあさん、どうかしたのか?」
今度は、だりあに聞いている。
「大丈夫です。
・・・なんでも、ありませんから・・・。」
だりあは、微笑みながら答えた。
「本当に、大丈夫なのか・・・・?」
だりあに、聞いた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。
・・・もう、涙は出てこないから・・・。」
だりあは、静かに言う。
「そうか。」
だから、俺も静かに返した。
「「だりあさん・・・」」
クリフとグレイがだりあに呼びかけた。
「何・・・?」
だりあは、まっすぐ二人を見て聞き返す。
人が苦手なだりあが・・・。
「本当に大丈夫なの?
無理することはないから・・・。」
クリフが言った。
グレイの顔は赤くなっている。
わかりやすいヤツだなぁ。
「大丈夫だよ。
思う存分、泣いたから・・・。」
確かに、たくさん泣いたよな。
「そう・・・?
まだ、泣きたそうに見えるけど・・・」
クリフは、そう言った。
「・・・そう?」
だりあは、自分ではそう思っていないようだった。
「うん。まだ、悲しそうで・・・」
クリフは、よく見ている、そう思った。
「大丈夫。ありがとう・・・。」
だりあは、笑って言った。
クリフは、急にてれたように、向こうに行った。
こいつもか・・・。
「ダリ・・・どうしたんだ?」
カイがだりあに聞いている。
「何が・・・?」
カイの言っていることがわからないようだ。
「だって・・・クリフと普通に話してただろ?
今まで、ダメだったのに。」
カイもそう思ったらしい。
「わかんない。なんでだろうね・・・?」
だりあは、自分でも無意識のうちに話していたらしい。
「まぁ、よかったんじゃないか?」
とりあえず、そう言った。
これも、アズサのおかげか・・・?
「だりあちゃん、もう平気?」
ポプリが、だりあに聞いている。
「うん。大丈夫だよ?
ごめんね、心配かけちゃって。」
「よかった。
だりあちゃんが泣いてるの見てたらね・・・
ポプリも悲しくなっちゃって、泣いちゃった・・・」
ポプリは、笑いながらそう言っている。
「ありがとう・・・。」
だりあの目から、涙が溢れ出す。
「だりあちゃん、今度はどうしたの!?」
ポプリが、あわてたように言った。
「え・・・?」
「今度は、なんで泣いてるの・・・?」
ランさんがだりあにきいた。
「わかんない・・・。」
「泣かないでよぉ・・・。
だりあちゃんが泣くと、ポプリも・・・。」
ポプリの目にも、ランさんの目にも涙がたまってきている。
「大丈夫。今のはたぶん、嬉し涙だから・・・。」
だりあが言う。
やっと、気づいたらしい。
自分の周りには、自分を心配してくれる「友達」がいることを。

それから、その場にいたみんなで昼飯を食べた。
・・・少し遅い昼飯だが。
そのあと、俺たちは牧場へ行った。


   「ダリア」を優しく見守る夜の月

   静かに見守る夜の月

   大切な花たちを守る、夜の月

   その月がこれから先に見るものは―――


<<   ダリアTOPに戻る   >>