グレイ編


朝、俺が仕事に行くとき、まだだりあさんは寝ていた。
・・・カイの隣で。
でも、いいんだ。
だりあさんは、幸せそうな顔で寝てる。
かわいらしい寝顔。
これを見れただけでも幸せだ。
少しだけ、カレンに感謝した。
きっと、カイのそばでないと、この顔はしない。
だりあさんは、きっと俺の気持ちに気づかないだろう。
でも、それでもいい。
それで、幸せになってくれるのなら。
いくらでも隠してやる。そう思う。

仕事が終わって、俺は図書館へは行かずに、宿屋に戻った。
まだ、だりあさんがいるといいな、と思いながら。
アージュワイナリーから、クリフが出てきた。
クリフも、いったん帰るのだといって、一緒に歩き始めた。
・・・そんなに、歩く距離ではないが。
宿屋に入ると・・・
クレアさん、ポプリ、カイ、セイヤ、ランちゃんが一ヶ所に集まっていた。
何かと思ったら、その中心でだりあさんが泣いている。
どうしたのかと気になったけど・・・
何やら聞かない方が良さそうだったので、聞かないでおいた。
しばらくいると、リックが起きた。
そして、だりあさんは泣きやんだ。
とても安心した。
笑って、なんでもないと答えてたけど、違う気がした。
だりあさんの笑顔じゃなかったから。
そして、さらに心配になった。
すぐに、また泣き出してしまったから。
今度は、ポプリとランちゃんも一緒に。

ダッドさんが来た。
だりあさんは、また泣きやんだ。
口が勝手に、だりあさんの名前を呼んでいた。
驚いたことに、クリフと同時に。
すると、だりあさんは、いつもと違う反応をした。
まっすぐ、俺とクリフを見てきたんだ。
今まで、こんなことはなかった。
いつもとは違う目。
顔が、赤くなった気がした。
その、意志の強そうな、いつものだりあさんとは違う目に見られて。
人を射るような、心の中まで見透かしそうな目。
そんな目だった。
でも、いつもと違う「美しさ」がある、そう思った。
その目に、惹きつけられた。
やっぱり、だりあさんは、大輪の「花」だ、そう思った
そう思ったら、動けなくなった。
その間に、クリフとだりあさんは話をしている。
これも、いつもとは違う。
いったい、だりあさんはどうしたんだ・・・?
クリフが、向こうへ行った。
・・・顔を赤くしながら。
ひょっとして、クリフも・・・?


   「ダリア」の花は氷の気持ちに気づかない

   それでもいいと、氷は思う

   いつもと違う、「ダリア」の瞳

   その目に魅せられ、氷は思う

   「ダリア」の花は大輪の花だと―――


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