クリフ編

今日はデュークさんが宿屋でつぶれていたので、仕事を早く終わらせてもらった。
ワイナリーから外へ出るとグレイと鉢合わせたので、一緒に行くことにした。
そんなに距離はないけど。
宿屋に入ると、みんなが集まっていた。
真ん中では、だりあさんが泣いていた。
とてつもなく、心配になった。
なんで泣いてるかなんていい。
ただ、だりあさんが泣いているというだけで、心配になった。
そして、カイに怒りを覚えた。
なんでだかはわからないけど。
カイは、だりあさんのそばにいるだけ。
なにもしようとしない。
セイヤも、クレアさんも。
もちろん僕にはわからない理由があるんだと思う。
それはわかってる。
でも、それでも。この気持ちはあふれ出る。
どうしようもなかったけど、こらえることは出来た。

だりあさんが一回、泣きやんだ。
もう大丈夫だといって、笑ったけど、その笑顔は僕を悲しくさせた。
・・・本当の「笑顔」じゃなかったから。
だりあさんは、また泣き始めた。
今度は、ランちゃんとポプリさんも一緒に。
たぶん、この二人が泣いてくれなかったら、僕が泣いてた。
だりあさんの、悲しそうな・・・
ニセモノの笑顔を見たら、ものすごく悲しくなって。

また、だりあさんは泣きやんだ。
今度は、本当に泣き止んだようだ。
ほっとした。
涙の跡が残る顔で、微笑んでいる。
安心したら、だりあさんにこっちを向いて欲しくなった。
だから、呼びかけてみた。
グレイも、同時にだりあさんに話しかけたけど。
だりあさんは、いつもはしないようなカオで僕とグレイの方を見た。
あのだりあさんが、まっすぐ、僕たちを見たんだ。
いつもと、目が違う気がした。
いつもはおびえたような目でこっちを見るのに、違った。
今までは、こんなにまっすぐ見てくれることはなかった。
すごくうれしくなった。
隣にいるグレイを見ると、顔が赤くなっている。
もしかして・・・・・・
そう思った。
でも、僕はかまわず、だりあさんに話しかけた。
だりあさんは、まだ、少し泣きたそうだ。
悲しそうにしている。
それを言ったら、だりあさんは僕に向かって、笑いかけてくれた。
その笑顔は、まったく変わっていなかった。
その笑顔を見たとたん、急に恥ずかしくなってきた。
なんでだかわからない。さらに、泣きたくもなってきた。
多分・・・、だりあさんが泣き止んでくれて・・・
僕に笑いかけてくれたことで、安心したからだろう。
こんなところで泣くわけにもいかないから、部屋に戻った。
部屋に入ったとたん、涙があふれた。

この頃、だりあさんの笑顔を見るたびに、罪が許されるような気がする・・・。
だりあさんが話しかけてくれれば、うれしくなる。
この感情は、なんだろう・・・。


   雪は、いまだに気づかない

   月が気づいた、雪の心

   雪はいつになれば気づくのか


   罪はいつか、許される

   雪はもう許されている

   でも、それに雪は気づかない

   だから神が届けた「贈り物」

   許されていることを知らせるための、「贈り物」
   
   「ダリア」の花のきれいな笑顔

   「ダリア」の花は気づいていない

   自分の笑顔が雪の罪を洗い流していることを

   雪は思う

   自分の罪が、許されていると

   太陽に「一途な」花の笑顔によって―――


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