第27話・裏

「ここはね〜、泉。
ポプリ、ここが大好きなの!!
ここには、女神様が住んでるんだって。
ポプリは見たことないんだけど・・・」
俺は、ポプリに連れられて、山の方へ・・・
そして、今なぜか、ポプリに説明を受けている・・・
ふと見ると、泉の裏に目立たない洞窟のようなものがある。
「なぁ、ポプリ、あれ、なんだ?」
なんだか、気になった。
「あれ?あれはね、鉱石場。
よくグレイが入ってくのを見るけど。
ポプリは入ったこと、ないなぁ。」
鉱石場、か・・・
「ポプリ、入ってみないか?」
好奇心がうずいてきた。
こういうの見ると、入ってみたくなるんだよなぁ。
「え?!ヤダ。こわいもん・・・。」
「怖くないよ。入ってみるだけ。
ほら、俺もいるだろ?」
ポプリの顔が、カァッと赤くなった。
・・・俺、まずいこと言ったかも・・・。
「わかった・・・。」
ポプリは、俺の服の端をつかんだ。

「へぇ、中はこんななのか。
道具持ってればやってみたいところなんだけど・・・。」
中は、案外広かった。
「セイ君・・・外にでようよぅ・・・。」
ポプリの声が、震えている。
「わかった。外、行こう。」
もう少しいたいところだけど・・・
このままいたら、ポプリが泣き始めかねない。
俺たちは、外に出た。
「セイ君、次は、湖に行こ!」
出たとたんに元気になった・・・
器用だなぁ。

「ここが湖!
ここにはね、動物がいっぱい住んでるの!
あと、湖には河童がいるんだって。
本当なのかなぁ・・・。」
か、河童・・・?
この街は何でもありなのか!?
「へぇ。この町にはいろいろといるんだなぁ。」
「う〜ん、どうなんだろ。
河童とか、女神様には会ったことがないから・・・」
会ったことがあったら、すごいよな・・・。
「そりゃそうだ。
・・・きれいなところだな。」
アズサにも、見せてやりたかったな。
アズサは、こういうところが好きだったから。
「うん。きれいだよね!
あ、リス!!」
ポプリが、リスを発見して追いかけていく。
無邪気だなぁ。
俺は、足下にあった花を何輪か摘んだ。
「ポプリ、ほら。」
そう言って、ポプリに差し出す。
ほんの少しの、感謝の気持ちだ。
ポプリはかわいいから、この花はきっと似合うだろう。
「え!?くれるの?!
ありがとう!!」
満面の笑顔。
だりあとは違う。
でも、守りたいって思うような笑顔だ。
「さあ、そろそろ帰らないと。
リックが心配してるんじゃないか?」
もう、夕方になる。
結構、あっという間だったな。
「平気だよ。お兄ちゃんなんか、放っておけばいいんだもん。」
「平気じゃない。何も言ってこなかったんだろ?
もし、だりあがそんなことしたら、俺は心配するぞ?
きっと、それはリックも同じだろ?」
妹を持つ兄として。
その立場は、俺はリックと同じだ。
その気持ちは、よくわかる。
「・・・わかった、帰る。」
素直に、でも不満そうに言った。
「それでよし。」
そして、俺とポプリはにわとりりあの前までいった。
「ねぇ、また、デートしてくれる?」
デート・・・これをデートというのか?
「あぁ、暇だったらな。」
「本当!?やった〜〜!!」
何がそんなにうれしいんだか。
「あ!ポプリ!!どこに行ってたんだ!?」
お。リックがこっちに向かって走ってくる。
「あ、お兄ちゃん。
クレアさんの牧場のお手伝いに行ってたの♪
見て、これ、貰ったの!!」
にこやかに笑いながら言っている。
リックはそんなポプリには、怒ることができないらしい。
「えっと、セイヤだっけ・・・?
ポプリを送ってきてくれたのか?
ありがとう。さぁ、ポプリ、行くぞ!」
シスコンぶりは、俺と似たようなものかな。
「え!?ちょっと待って!!
セイ君、また、お手伝いに行かせて貰うからって・・・
クレアさんに言っておいてくれる??」
「あぁ、伝えておくよ。」
「じゃあ、またね、セイ君!!」
そう言い残して、ポプリはにわとりりあに入っていった。
さあ、俺も牧場に戻るかな・・・


   幼い花は無邪気な花

   月の心は何を歌う

   幼い花をどう思う

   幼い花と夜空の月は

   互いにそれぞれをどう思う―――


   月は思う

   幼い花の笑顔を見て

   「ダリア」の花とは違う笑顔

   それでも、「守りたい」と思う笑顔

   その思いは何を意味している?

   それは、まだ誰にもわからない

   夜空に浮かぶ月にさえ、わからないこと―――


<<   ダリアTOPに戻る   >>