第28話・表

いつものように海の家に行った後、私とカイちゃんは、牧場に戻った。
「ただいま〜〜。」
返事はない。
「クレアさんもセイヤもいないみたいだな。
二人で買い物にでも行ったんじゃないか?」
あ〜、そうかも。
二人とも、仲いいから・・・。
「ただいま。
だりあ、カイくん、どうしたの?
そんなところで。」
お姉ちゃんだ。
でも、お兄ちゃんはいない。
「お姉ちゃん、お帰り。
お兄ちゃんは・・・?」
カイちゃんも、変なカオをしている。
「え?セイはね・・・」
「ただいま。
三人ともなんでこんなところで立ち話してるんだ?」
お姉ちゃんが、言おうとすると、お兄ちゃんが帰ってきた。
噂をすればかげ・・・?
「あぁ、セイ、お帰り。
楽しかった?襲わなかったでしょうね?」
??・・・意味が・・・。
「襲うわけないだろ!?」
何?何がなんだかさっぱり・・・。
「二人とも、何の話してるんだ?」
カイちゃんが二人に聞く。
私も、聞きたい。
「え?セイ、ポプリちゃんと一緒にマザーズヒルに行ったから、その感想を。」
それって・・・デート?
「へぇ、デートか?」
カイちゃんも、私と同じことを考えてたみたい。
「あれをデートって言うならな。」
?どういうこと?
「まぁ、そんなのはほっといて。
セイ、実際のところどうだった?」
お姉ちゃんが言う。
そんなのって・・・
「案内してもらった。
この町って、女神や河童がいるんだな。」
へぇ、案内かぁ・・・。
「女神様はいるけど、河童は会ったことないなぁ・・・。」
お姉ちゃんが言う。
・・・ん?『会ったことがない』?
女神様は『いる』って断言したよね・・・?
「ねぇ、お姉ちゃん・・・」
「何?」
さっきのお姉ちゃんの言葉を聞いて浮かんだ疑問。
「お姉ちゃんは・・・女神様と会ったことがあるの?」
女神様はいるの?
それも聞きたかったけど、会ったことがあるんならいるってことだしね。
「うん。泉に住んでるんだよ?知らなかったの?」
お姉ちゃんは、事も無げにさらりと答えた。
知らなかった?なんて聞かれたって、知ってるわけないじゃん。
「知らないよ。」
お兄ちゃんとカイちゃんは、向こうで何か話してる。
何を話してるんだろう。
「まぁ、知らなくても困らないしね。
だりあ、いつか必要になったら女神様に会うといいわ。」
必要になったら?
どういうことだろう。
少しだけ、お姉ちゃんと・・・
アズサお姉ちゃんがダブって見えたような気がした。
「で?アズサの手紙の意味はわかったのか?」
いきなり、背後から聞かれた。
お兄ちゃんだ。
びっくりした・・・。
「セイヤ・・・ダリを驚かすなよ。」
その後ろに、さらにカイちゃんが。
「あ、ごめんごめん。
で?どうだった?読めたか?」
「うん。でも・・・」
『謎』は残ったまま。
「「でも?」」
お姉ちゃんとお兄ちゃんが同時に言う。
「私の読んだのにしか書いてなかったの。あの文章も。
もう一冊あったんだけど、それには写真しかなくて・・・」
お兄ちゃんも、お姉ちゃんも不思議そうなカオをしてる。
まずありえないことだもんね。
「でも、それでいいんじゃないか?
アズサ姉からダリへの贈り物だと思ってれば。
世の中には、不思議なことだらけだしな。」
カイちゃんが言う。確かに、そうなんだけど・・・
「ま、深く考えない方がいいと思うぞ。」
「深く考えるとよくないわよ?」
お兄ちゃんとお姉ちゃんが同時に同じようなことを言った。
異口同音・・・?
「うん。そうする。
でね、これ、もらったの。
マリーちゃんがくれるって。」
本を見せながら、言った。
「そう。よかったね。」
お姉ちゃんが言う。
「あぁ、今日は夕飯どうするんだ?」
お兄ちゃんが言った。
何でいきなり・・・
「ダッドさんのお店行こうか。どうする?だりあ。」
お姉ちゃんが言う。
お姉ちゃんは行きたいんだろうけど・・・
「家で食べたい。」
少しずつ、人に慣れてはきてるけど、まだあんまり行きたくはない。
「え〜〜〜。行こう?ね?」
お姉ちゃん・・・
「行ってきていいよ?
私は家で食べるから。」
別に、キッチンもあるし、困らない。
まぁ、一人で食べるのは寂しいけど・・・
「でも・・・」
お姉ちゃんは、まだ何か言おうとしてる。
「大丈夫、クレアさん。俺、ダリといるから。」
・・・え?
「そう?それならいいけど・・・」
お姉ちゃん・・・
「カイ、ちょっとこっち来い。」
お兄ちゃんが、カイちゃんを隅に呼ぶ。
なんだろう。
一言二言会話して、戻ってきた。
「じゃ、ちびカイ、ダリを頼んだぞ。
クレア、行くなら行こう。」
・・・なんだったの?
「うん。行こ!!」
お姉ちゃんは喜んで、お兄ちゃんと一緒に行ってしまった。
「ダリ、家の中に入ろう?
夏っていっても、風邪は引くしな。」
そう言って、カイちゃんは中に入っていった。
まったくもう・・・。
私も、家の中に入った。


   月と幼い花のデート

   太陽は何を思う?

   太陽はダリアの花を一途に思う

   それでも、幼い花とも仲がよかった

   その太陽は何を思う―――

<<   ダリアTOPに戻る   >>