第29話・表

ひょっとしなくても、今、カイちゃんと二人きり・・・?
なんだか、そう思ったら顔が赤くなってきたような気がする。
ど、どうしよう・・・。
「ダリ?どうしたんだ?」
カイちゃんが、不思議そうに問いかける。
「な、なんでもない!!」
あわてて、言った。
無意識のうちにポケットに手を入れていた。
忘れていたけど、そのポケットには指輪が。
ど、どうしよう・・・?
渡した方がいいのかなぁ。
でも・・・。
「ダリ〜??
なんか変だぞ?風邪でも引いたか?」
カイちゃんが顔を覗き込んできた。
もし、受け取ってもらえなかったら・・・
こんな態度は取ってもらえなくなるんだろうなぁ・・・。
まだ、渡さなくていい。
渡したくない。
この関係を、壊したくないから。
「・・・大丈夫だよ、カイちゃん。
ご飯、作るね。何がいい?」
なるべく、心配させないでいたい。
心配されると、なんだか悲しくなるから。
カイちゃんには、特に。
だから、笑いながら言った。
「ダリ、無理はするなよ?
無理すれば、みんなが心配するんだからな?」
わかってる。
無理してるつもりはないもん。
「大丈夫、無理なんてしてないよ?」
カイちゃんは、私の目をじっと見てる。
「ほら、カイちゃん、ご飯作って食べようよ。
カイちゃんは何がいい?」
私は、キッチンの方へ行きながら聞く。
“この話はもう終わり”っていう意思表示のつもり。
「え・・・。
ダリのつくるものならなんでもいいよ。
あ、俺も何か作るよ。」
そう言って、カイちゃんもキッチンの中へ。
「じゃあ、私おかず作るから、カイちゃんご飯作って。」
「はいはい。」
そして、私たちはそれぞれ作り始めた。

少しして。
「わぁ、おいしそう。」
テーブルの上には、美味しそうなご飯が。
ご飯だけでも食べれるって、これ。
おかず、必要なかった気がする・・・。
「さぁ、食おうぜ。」
う〜ん、なんだか、新婚さんみたいだよぅ・・・
「いただきます。」
カイちゃんは、そう言って食べ始めた。
私も、食べようっと。 

片付け終わってから、二時間ほど後・・・
「ただいま〜!だりあ〜〜〜〜♪」
お姉ちゃんが帰ってきた。
お兄ちゃんに連れられて。
結構飲んできたみたい。
「お帰り、お姉ちゃん。
お兄ちゃん、ありがとう。
・・・どのぐらい飲んだの?」
お兄ちゃんに聞く。
お姉ちゃんだと、きっとまともに答えられないから。
「ワイン2本。他にも飲んでたかもな・・・。」
絶対、それ以外にも飲んでる。
お兄ちゃんは、お姉ちゃんをベッドに寝かした。
「だりあ、じゃあ、また明日な。
ほら、ちびカイ!帰るぞ。」
そう言って、お兄ちゃんはカイちゃんを連れて帰っていった。

カイちゃんの料理を毎日食べれる人はきっと幸せだろう。
それはきっと、私じゃないけど・・・。
『好き』っていう気持ちに変わりはない。
だけど、私はもう、一回振られてる。
カイちゃんの私への感情は、『友達』以外にないはず。
それ以上には、なれない。
この頃、その思いが強くなってきた気がする。
どうすれば、いいんだろう・・・。
そんなことを考えているうちに、私の意識は夢の中へと落ちていった。


   ダリアの花は太陽を想う

   その想いは、本物

   でも、ダリアの花はあきらめている

   太陽に選ばれるはずはない、と

   ダリアの花は、一途だけれど臆病な花

   ものの『変化』を望まない花

   その『変化』がよい方向へのものだとしても―――


   ダリアを一途に一途に想う太陽

   その想いは美しいもの

   ダリアの花にはわからない

   『変化』を望んでいないがために

   ダリアの花が気づくのはいつ?

   それはきっともうすぐ――― 

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