第29話・裏・上

「だりあも、もうちょっと自信を持てばいいのに・・・」
宿屋へ行く道すがら、クレアがいきなり立ち止まってつぶやいた。
「いきなり何を言い出すんだ?」
俺も、立ち止まって聞く。
「だって、だりあはもう、あきらめきってるから・・・」
何をあきらめきってると?
「だりあはね・・・カイくんには選ばれない、そう信じ込んで・・・
あきらめちゃってるのよ。何でなのかはわからないけど・・・」
クレアは、俺の心を読んだかのように言う。
だりあが・・・?
あれは、どっからどう見ても両思いにしか見えないんだが・・・
「不思議よねぇ。
二人とも、互いに想い合ってるのが一目瞭然なのに・・・
本人たちは片思いだと思ってるんだから。
だりあなんて・・・『叶うはずのない恋』って思って・・・
必要以上におびえてる。見ててかわいそうになってくるわ。」
確かに。
カイは、だりあには態度が違う。
だりあの前だと、雰囲気が変わる。
まぁ、気づいてるかどうかはしらないが。
きっと、気づいてないだろう。
「『指輪』も渡せない、なんて言ってるし・・・。」
『指輪』?
「クレア、『指輪』って・・・」
俺の頭の中には、カイが夢の中でもらったという・・・
『鎖』と『指輪』のことが浮かんだ。
「うん、指輪。
金色のヤツでね、DEAR KAI FROM DAHLIAって刻んであるの。
『夢』で自分からもらったんだって。
もう一組あったはずなんだけど・・・っていってたっけ。
どこにいっちゃったんだろうって、不思議がってた。」
それだな・・・。
となると、俺の予想はあたってたことになるのか・・・
また、『何か』が起こるのか・・・?
「もう一組は、カイが持ってる・・・。
夢で・・・『誰か』に渡されたって言ってた。
たぶん、その『誰か』は・・・・・」
「・・・カリン・・・?」
そう、カリンだ。
そんなことができるのは、カリンしかいない。
「でも、カリンは・・・眠っているはずでしょう?
・・・だりあの中で、『夢見』の力を持って。」
カリンは、だりあの中にいる、人格。
カリンっていうのは・・・
両方が「だりあ」だとわからないから、俺たちがつけた通称だ。
カリンは、アズサが眠らせた。
『夢見』の力を全てカリンに持たせて。
「でも、力は確実に戻ってきているんだろう?
それだったら、カリンが起きたって考えた方が自然じゃないか?」
だりあが『夢』を見るようになったってことは・・・
『夢見』の力が出てきたってことだ。
その力は、カリンが持って眠っている。
この二つを考えると、出てくる答えは、たぶん一つだ。
「でも、アズサが言ってたでしょ?
カリンは、だりあが壊れそうになったら目覚めるようにするからって・・・。
そのカリンが起きたってことは・・・」
だりあに、『危機』が訪れる―――
「・・・深く、考えないことにしよう。」
あまり悪いことばかり考えると、それが現実となる。
アズサが、よく言っていた。
「うん。そうだね・・・。」
そして、俺たちはまた歩き出した。


   夜空の月と、月の花

   「ダリア」の花を想うものたち

   ダリアに『危機』が訪れる・・・?

   その真の意味は『夢』のみが知る―――


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