私は、また『夢』の中に来た。
「いらっしゃい。おバカなだりあちゃん。」
『私』がいる。
「馬鹿とは何よ、『だりあ』」
「バカにバカって言って何が悪いの?
だりあ、あなたは馬鹿以外の何者でもないわ。」
「どうしてよ。
あなたにバカって言われるようなことはしてないつもりだけど?」
「指輪、渡してないわよね?
せっかくきちんと名前を刻んであげたのに。」
あ・・・・・。犯人はやっぱり・・・。
「何で、刻んであったの?
あれの理由がわからないと渡す気にはなれないわよ。」
「今後、『必要』になるからよ。
だりあ、あなたが『幸せ』になるためにね・・・。
あぁ、自分の名前で私を呼ぶのは面倒でしょう?
私のことはカリン、って呼んでくれればいいわ。」
幸せになるために『必要』・・・?
「わかった、カリン、ね。
で、カリン。幸せになるために必要ってどういうこと?
あなたは・・・あなたは、何を知っているの?」
カリンは、絶対に『何か』を知ってる。
私が知らない『何か』を。
「・・・」
カリンが私の問いに返したのは、沈黙と微笑。
でも、それは『何か』を・・・
私に言えない『何か』を知っている、と言っているのと同じだった。
「だりあ、指輪は、絶対に渡しなさい。
その指輪とネックレスは、あなたの今後深く関わるものだから。
わかった?カイに、必ず渡しなさい。
『言葉』とともにね。」
『言葉』って・・・。
「そうだ。
私、指輪とネックレス、二組もらったよね?
銀色の方がなかったんだけど・・・。」
カリンは、それを聞いて、笑った。
何がおかしいの・・・?
「あぁ、そっちはいつか戻ってくるわ。
だりあ、あなたがきちんとすれば、ね。」
きちんとすれば・・・?
なにを?何をすれば?
カリンは続ける。
「きっと指輪はあなたの支えになってくれる。
だから、きちんと渡しなさい。
『言葉』とともに。
これは、私からの忠告よ。」
『忠告』?
何か、これから起きるような言い方・・・。
何かが、起きるの・・・?
そんな感じがした。『予感』って言うのかな・・?
「カリン・・・これから、何かがあるの?
あるとしたら、それは防げないことなの?」
こういう『予感』って当たっちゃうんだよね・・・。
「この先、あなたにはつらいことが待っているかもしれないわ。
それは、『運命』なの。
防ぐことはできなくても、『軽減』することはできるわ。」
カリンは、微笑みながら言う。
なんだか、アズサお姉ちゃんに似てる――そう思った。
カリンは、さらに続ける。
「でもね、今、あなたの周りにはたくさんの人がいる。
もう、一人じゃないの。
もう、一人で悩むことはないの。
どうしてもつらければ、私がいる。
『友達』だってできたでしょう?
セイヤだって、クレアだっている。
みんな、あなたを守ってくれるから。
あなたのことを心配してくれる人たちばかりだから。」
うん、私の周りには、人がいる。
友達、と呼べる人もいる。
お兄ちゃん、お姉ちゃん、カイちゃんがいる。
・・・あれ?
今、カリンはカイちゃんのこと、言わなかった・・・よね?
「ねぇ、カリ・・・」
「あぁ、もうすぐ時間ね。
だりあ、絶対に渡しなさいね?
わかった?」
聞こうと思ったら、カリンはそれをさえぎった。
「わかってる。渡すから。」
「じゃあ、またね。」
その言葉を聞いたのを最後に、私は夢の世界から戻ってきた。
『何か』を知っている「花梨」の花
「花梨」は何を知っている
『花梨』は何のためにいる
一途な花の『運命』は―――