俺たちは、まだ神殿にいた。 マザーたちが引き止めるからだ。 きっと、寂しいんだろう。 「気をつけて。 外の世界は、あなたたちが知らないことばかりですからね。 ミネラルタウンなら大丈夫だと思いますが・・・。」 何回も、同じことを言う。・・・壊れた機械みたいに。 できれば、さっさと開放してもらいたい。 隣では、陽華の様子が変わってきている。 制御リングは、ついてない。 でも、マザーはそれに気づかない。 まったく・・・。 「マザー、俺たちは大丈夫ですよ。 いやになったら、帰ってきますから。」 陽華の制御が出来なくなる前に、さっさと行こうと思って、言った。 もちろん、最後のは本心じゃない。 きっと、いやになることなんかないだろう。 でも、俺の言葉を聞いて、マザーは引き下がってくれた。 陽華の様子には気づかないまま。 「じゃあ、そろそろ行きますね。」 機嫌がよくなったらしい、陽華が言う。 そして、俺をひっぱって、魔方陣の上へ。 「あ、まちなさい!!」 マザーが言う。 今度はなんだ・・・? 陽華は、またもや機嫌が悪くなった。 結構機嫌なおすの大変なんだぞ。 「これを。」 マザーが、俺たちに金と銀の袋を差し出す。 中に、何か入っている。 「マザー、これは・・・?」 陽華が聞いている。 「お守りです。 今開けては駄目ですよ? あなた方に、大切な人が出来たら、開けなさい。 もちろん、その前に帰ってきてもいいですけどね。」 それなら、開けることはないな。 俺は、陽華がいればいい。 ただ一人、陽華さえいればいい。 そう思う。 さあ、これ以上、陽華の機嫌が悪くならないうちに、ここを出ないと・・・。 「「マザー、お元気で・・・」」 俺たちは、そろって言う。 「あなた方もね。 連絡を待っていますよ。」 目の前が、ゆがんだ。 そして、マザーの顔が見えなくなる。 俺は、静かに眼を閉じる。 次に見るのは、どんな景色だろう――― |