「君たちは誰だい? それに、ここで何をしてるんだい?」 入ってきたのは、トマトみたいなおじさんだった。 誰だよ。一目で、嫌いな人種だと思った。 「人に誰かを聞く前には自分が先に名乗るのが礼儀だと思いますが? で、ここは牧場なんですよね?」 静かに言う。 でも、陽華にはわかるだろう。 こいつが、俺の気に食わないということを。 「あ、ああ。悪かったね。 私はトーマス。この町の町長をしてるんだ。 そう、ここは牧場だよ。もう、十年以上使われてない、ね。 で?どうして君たちはこんなところにいるんだい?」 今更謝っても、遅い。 このトマトの第一印象は、もう決まった。 礼儀知らず。こんなのが町長だなんて・・・。 「俺たちはこの牧場に来たんです。」 出来ることなら、こいつを何かで怪我させたい。 でも、生憎そんな道具は持ってない。 「力」を使うのは、気分じゃない。 「え?!この牧場に!?」 そんなに驚くか、このトマト。 「はい。何がおかしいんでしょうか?」 丁寧な言葉で、陽華が言った。 陽華もむかついてたのか。 「言霊」からそれがわかった。 トマトは、陽華の言葉に込められた「言霊」を感じ取ったらしい。 いきなり、態度が小さくなった。 「い、いや・・・こんなに若い女の子二人がこの牧場をやるなんて、と思いまして・・・。」 「女の子」二人・・・? やっぱり、そう思うのか・・・。 「大丈夫ですよ?私たち、二人でなら。」 陽華が言う。 そう、俺たちなら大丈夫だ。 「そ、そうですか・・・? それなら、いいんですが・・・。」 トマトが言う。 「はい♪あ、でも・・・道具とかないから・・・くれたり、しませんかねぇ?」 陽華は、楽しんでいる。 いつもならとめる。でも、こいつならいいや。 「ど、道具、ですか・・・? 道具なら、家の中にあったはずなので・・・。 どうぞ、それをお納めください・・・。」 何年前のだよ・・・。さびてるんじゃないか?まあ、いい。 「はい、ありがとうございます。 これから、いろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願いします。」 俺は、とりあえず言った。 トマトは、おじぎをしながら帰っていった。 |