songs 5 moon



「君たちは誰だい?
それに、ここで何をしてるんだい?」
入ってきたのは、トマトみたいなおじさんだった。
誰だよ。一目で、嫌いな人種だと思った。
「人に誰かを聞く前には自分が先に名乗るのが礼儀だと思いますが?
で、ここは牧場なんですよね?」
静かに言う。
でも、陽華にはわかるだろう。
こいつが、俺の気に食わないということを。
「あ、ああ。悪かったね。
私はトーマス。この町の町長をしてるんだ。
そう、ここは牧場だよ。もう、十年以上使われてない、ね。
で?どうして君たちはこんなところにいるんだい?」
今更謝っても、遅い。
このトマトの第一印象は、もう決まった。
礼儀知らず。こんなのが町長だなんて・・・。
「俺たちはこの牧場に来たんです。」
出来ることなら、こいつを何かで怪我させたい。
でも、生憎そんな道具は持ってない。
「力」を使うのは、気分じゃない。
「え?!この牧場に!?」
そんなに驚くか、このトマト。
「はい。何がおかしいんでしょうか?」
丁寧な言葉で、陽華が言った。
陽華もむかついてたのか。
「言霊」からそれがわかった。
トマトは、陽華の言葉に込められた「言霊」を感じ取ったらしい。
いきなり、態度が小さくなった。
「い、いや・・・こんなに若い女の子二人がこの牧場をやるなんて、と思いまして・・・。」
「女の子」二人・・・?
やっぱり、そう思うのか・・・。
「大丈夫ですよ?私たち、二人でなら。」
陽華が言う。
そう、俺たちなら大丈夫だ。
「そ、そうですか・・・?
それなら、いいんですが・・・。」
トマトが言う。
「はい♪あ、でも・・・道具とかないから・・・くれたり、しませんかねぇ?」
陽華は、楽しんでいる。
いつもならとめる。でも、こいつならいいや。
「ど、道具、ですか・・・?
道具なら、家の中にあったはずなので・・・。
どうぞ、それをお納めください・・・。」
何年前のだよ・・・。さびてるんじゃないか?まあ、いい。
「はい、ありがとうございます。
これから、いろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願いします。」
俺は、とりあえず言った。
トマトは、おじぎをしながら帰っていった。


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