一度牧場を出て帰っていったはずのトマトがまた戻ってきた。 今度は、なんなんだよ。 「すっかり忘れていたよ。 君たちの名前は?」 そんなことで、戻ってきたのか? 今度あったときにでも聞けばいいことを。 「俺はリュヌ。クレール デュ リュヌ。 で、こっちはソレイユ。リュミエール デュ ソレイユ。」 俺は、マザーに言われたとおりの名前を言った。 どこかの国の言葉で、「月光」そして「日光」っていう意味らしい。 そのままの名前でいいと思うが、これも『条件』の一つだから、仕方がない。 「名字が違うのかい? 君たちは兄弟なんだろう?」 そんなのどうだっていいだろう? どうしてこんな変なところにこだわるんだ? 「いえ、名字はフルールです。 さっき言ったのは、名前なんで・・・。」 内心むかつきながらも、適当に言った。 『花』という意味の、外国の言葉。 「そうなのかい? 名字の方が、短いなんて、おかしいねぇ。」 トマトは、大声で笑った。 『力』を使いたくなる。 でも、このトマトには、そんな価値はない。 「オカシイデスカ? ソウデスヨネ。オカシイデスヨネ。ドウゾ、思う存分笑ってクダサイ。」 陽華が、硬い調子で、なおかつ「言霊」を乗せて、言った。 それを聞いたトマトは、びくっとして、言った。 「いや、ごめんよ。少し、変わってると思ったものだから・・・。」 このトマト・・・いつか、覚えてろ。 絶対に後悔させてやる。 「じ、じゃあ、私は帰るから。 何か、困ったことがあったら、何でも言ってきていいから。」 トマトは、そう言って、逃げていった。 もう、二度と会いたくない。 |